2018年10月22日(月)2限。ゆりの木ホールステージボックスにて。この週末に行われるサークルの公演に向けて、客席・舞台面が整えられた状態での練習である。 参加者は、作者の遠藤さん、出演者の川村さん、豊田さんのメンバー全員。遠藤さんは、今まで稽古見学を行った3作品とは異なり、自分は出演せずに制作に専念するという方法をとっている。

10:47 動画を見て確認。それから音楽をかけつつ、カウントを言いながら実際に動いて確認。

 ノイズっぽい、リズムを刻む感じの音楽である。2人の動きを見て、遠藤さんがきっかけや動きの速度、細かいやり方を伝える。それを受けて出演者2人もよりやりやすい方法を考えながら意見を出す。制作者と出演者が分かれずに、お互いの視点を踏まえながら意見を出し合って稽古が進んでいく。あるシーンではダンサーの態勢が面白くてお互いに爆笑する和気あいあいとした場面も…

11:00 音楽をかけて、細かいタイミングを繰り返し確認後、長めのフレーズで実践。

 ダンサーが実際にやってみて、遠藤さんがコメントし、改めてやってみるというのを繰り返していた。日常動作的な部分と動きの美しさや技で見せる部分の両方が入り混じっている印象で、ダンサー2人が離れたり、触れたりという関係性が、様々なリズム、スピードでどんどん変化していくのが興味深い。

11:17 音楽をかけて、今まで練習した部分を通した後、休憩。

休憩中には、3人で社交ダンスの話など、一見雑談のように見えて、実は作品のテーマにも繋がっているような話もしていた。作品に真摯に向かう姿が窺える。

11:30 別のシーンのタイミングや立ち位置を確認した後、全体通し。

 8分程度の作品であった。 日常動作から徐々に違和感が生まれ、ムーブメントに発展する。ボタンを押すという日常で起こる単純な動作でも、2人の関係性を変えることで日常とは異質な見え方となり、作品の中に活きていて面白い。

11:44 遠藤さんが通しについてコメントし、部分的に確認。

ペ アワークや音楽との兼ね合いを中心に、実際に動きながら繰り返し確認していた。

12:03 終了。

この日の稽古は、本番が近いこともあり、完成した作品の細かい部分を磨いていく印象だった。作品の中で、ダンサー同士がいかにお互いのことが感じられるか、また、他者の力によって動かされているのか、自分が動かしているのか、という2人の間にあるリアルなせめぎ合いに見応えがある。遠藤さんが客観的な立場で振付をしているからこそ、観客目線の視覚的なアプローチも効果的に利用しているように見えた。遠藤さんは、サークル公演での発表後に映身展2019に向けて改めて練り直すと話していた。一度完成した作品が別の場所で上演される時、どのように変化していくか楽しみである。

(担当:杉本音音)